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月別アーカイブ: 2025年4月

第6回造船雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社ユーキ.ディープラント、更新担当の中西です。

第5回「用途別おすすめ塗料の選び方と施工ポイント」に続く、第6回造船塗装雑学講座は、**「塗装品質を支える下地処理の極意」**をお届けします。塗装の耐久性や美観は、下地処理の丁寧さで決まります。今回は、サンドブラストからケレン、脱脂、プライマー塗布まで、プロが実践する下地処理のポイントをご紹介します♪


1. サンドブラスト処理で旧塗膜・錆を一掃

① 目標清浄度:SA2.5相当

  • 内容:ISO8501-1規格で「ほぼ全ての錆・旧塗膜が除去された状態」を目指す

  • ポイント:鋼板面に微細な凹凸を残し、プライマーの密着性を向上

② 噴射材の選定

  • 鋳鉄砂:鋼板への攻撃性が高く、錆・旧塗膜除去に最適

  • ガーネット:再利用可能でコスト効率良好。環境負荷を抑制


2. ケレン作業で細部を徹底清掃

① 手作業ケレン

  • 用途:ブラスト未到達の隅部、溶接部の錆・スラグ除去

  • 工具:ワイヤーブラシ、スクレーパー、パテナイフ

  • 注意点:鋼板を傷めないよう、適度な力加減で丁寧に

② 電動ケレン

  • 用途:広範囲の旧塗膜剥離

  • 工具:ディスクグラインダー+ワイヤーカップブラシ

  • ポイント:回転数と圧力を適切に調整し、均一に処理


3. 脱脂・洗浄で油分・塩分を完全除去

① 脱脂剤の選定

  • 強力アルカリ洗浄剤:機械油やグリース除去に有効

  • 中性洗浄剤:プライマー前の仕上げ洗浄に適合

② 洗浄方法

  • 高圧洗浄機:200–300barで塗装面を洗い流し、化学洗浄剤を併用

  • ブラッシング+拭き取り:手が届きにくい箇所はブラシで洗浄後、清浄クロスで拭き上げ


4. プライマー塗布で密着性と防錆性を確保

① プライマー選定

  • エポキシプライマー:防錆性と密着性に優れる基本プライマー

  • ポリウレアプライマー:高耐久性を求める場合に最適

② 塗布条件

  • 環境:気温15–35℃、湿度80%以下を推奨

  • 膜厚:50–100μmを目安に、スプレーガンの設定を調整

  • 乾燥:メーカー指定の乾燥時間を厳守し、次工程の塗装に備える


5. チェックリストで品質を見える化

工程 チェック項目 判定基準
サンドブラスト 清浄度SA2.5相当の達成 錆・旧塗膜の残留なし
ケレン 隅部・溶接部の旧塗膜除去 手作業跡の残留なし
脱脂・洗浄 油膜・塩分の残留確認 触って滑らかさなし、塩分テストOK
プライマー塗布 膜厚・乾燥状態 指触乾燥、膜厚測定器で適正値

まとめ—下地処理で塗装の寿命を10年延ばす

  1. サンドブラストで基板をクリアに

  2. ケレンで細部の錆・旧塗膜を徹底除去

  3. 脱脂・洗浄で油分・塩分を完全に除去

  4. プライマー塗布で密着性と防錆性を確保

  5. チェックリストで品質を見える化し、再現性を高める

株式会社ユーキ.ディープラントでは、最新の下地処理技術と厳格な品質管理で、塗装の長寿命化を実現します。ぜひプロの下地処理を体験してください!


次回は第7回として、**「現場で役立つスプレーガンメンテナンス術」**をお届けします。スプレーガンの分解・洗浄から調整まで、実践的なテクニックを解説しますのでお楽しみに!

第5回造船雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社ユーキ.ディープラント、更新担当の中西です。

第4回「人気塗料と特徴」に続く、第5回造船塗装雑学講座は、**「用途別おすすめ塗料の選び方と施工ポイント」**をお届けします。船舶の各部位や運航条件に最適な塗料選定と、長持ちさせるための施工のコツをご紹介します♪


1. 船底用防汚塗料の選び方と施工

① アブレイティブ(自己研磨型)塗料

  • 特徴:航行時の摩擦で塗膜表面が徐々に剥がれ、常に新しい防汚面が現れる

  • 適用:高速艇やフェリーなど、頻繁に航行する船舶

  • 施工ポイント:下塗りのエポキシプライマーを確実に乾燥させ、均一に中塗り→上塗り。気温15℃以上、湿度80%以下で塗布。

② シリコーン系(非粘着型)塗料

  • 特徴:表面が非常に滑らかで、海洋生物が付着しにくい。剥がしやすく、ドライドッキングで清掃が容易

  • 適用:貨物船、タンカーなど長期航海向き

  • 施工ポイント:下地に適切なプライマー(シリコーン対応)を塗布し、メーカー推奨のシーラーを挟むことで密着性を向上。


2. 防食(防錆)塗料の選び方と施工

① エポキシ樹脂系プライマー

  • 特徴:優れた防錆性と密着性を発揮し、上塗り塗料との相性も良い

  • 適用:水線上部や内部構造物の鋼板面

  • 施工ポイント:鋼板表面のサンドブラスト処理(SA2.5相当)後、速やかにプライマーを塗装し、ブリスターを防止。

② ポリウレタン系トップコート

  • 特徴:耐候性・耐紫外線性に優れ、美観も保持

  • 適用:上部構造物、デッキ、船橋まわり

  • 施工ポイント:エポキシプライマー+中塗りエポキシフィラーの上に、塗り重ね間隔を守って2回塗布。塗膜厚は200~300μm。


3. 耐摩耗塗料の選び方と施工

① ウレア変性ポリウレタン

  • 特徴:高硬度でキールやバラストタンクなど摩耗の激しい箇所に最適

  • 適用:デッキウォーク、錨巻場、プロペラハウジング

  • 施工ポイント:適切なシンナー希釈でノンスランプ性を確保。湿度70%以下、塗装面温度は3℃以上の環境で施工。

② セラミック配合塗料

  • 特徴:セラミックビーズが塗膜に混入され、摩耗抵抗が大幅に向上

  • 適用:スクリューシャフト、ラダー機構部

  • 施工ポイント:ビーズが沈殿しないよう、定期的に攪拌しながら塗布。膜厚管理を厳守。


4. 特殊用途塗料の選び方

① 耐熱塗料

  • 用途:エンジンルームや排気管まわり

  • 特徴:300℃以上の高温に耐えるシリコーン樹脂系

  • 施工ポイント:脱脂・サンドペーパー研磨後、専用プライマーを併用し、2液混合比を厳守。

② 耐薬品塗料

  • 用途:化学薬品を扱うタンカーの貨物タンク内面

  • 特徴:耐酸・耐アルカリ性に優れるフッ素樹脂系

  • 施工ポイント:塗布前に表面をPH中和し、完全乾燥後に複層塗り。


まとめ—用途に合わせた塗料選定と確実な施工が長寿命化の鍵

  1. 船底:アブレイティブ or シリコーン系で航行条件に合わせる

  2. 防食:エポキシプライマー+ポリウレア/ポリウレタンで錆止め&耐候性確保

  3. 耐摩耗:ウレア変性 or セラミック配合で摩耗激しい部位を保護

  4. 特殊用途:耐熱・耐薬品塗料でエンジンルーム・貨物タンクに対応

株式会社ユーキ.ディープラントでは、最適な塗料選定から施工管理まで一貫サポート。過酷な海洋環境でも安心の塗装品質をお約束します。ぜひお気軽にご相談ください!


次回は第6回として、**「塗装品質を支える下地処理の極意」**をお届けします。表面処理のポイントを詳しく解説しますのでお楽しみに!