
皆さんこんにちは!
株式会社 ユーキ.ディープラント、更新担当の中西です。
今回は「船舶塗装の歴史」についてご紹介します。
船は塗装がなければ長く航海を続けられません。潮風、紫外線、波の衝撃、そして船底に付着する海洋生物——。これらすべてから船体を守るのが、船舶塗装という見えない防具です。そんな塗装の歴史は、まさに船と海の闘いの歴史でもあります。
古代から中世にかけて、船体は木で造られていました。この頃の塗装といえば、以下のような素材が使われていました。
漆(うるし)や松脂(まつやに)
魚油、クジラ油などの動植物由来油
炭粉や鉛などを混ぜた自家製ペイント
これらは防水と防腐を兼ねており、特に船底に塗ることでフジツボや藻の付着を防ぐ効果も期待されていました。これが現在の「防汚塗装」の原型といえます。
19世紀後半、蒸気船の普及とともに鉄製船舶が主流となります。木材と違い、鉄は腐りませんが、**錆びる(腐食)**という新たな課題が生まれました。
ここから塗装の目的が、「防水・防汚」から「防錆」へとシフトします。
赤さび色の鉛系プライマーが使われるようになる
アスファルトやコールタールを混ぜた黒い防錆塗料が主流に
木造よりも定期的な塗装メンテナンスが重要に
さらに、戦艦や軍艦では**偽装塗装(カモフラージュ)**や、レーダー反射を抑える色調なども考慮されるようになりました。
1950年代以降、日本を含む世界中で貨物船・タンカー・フェリーなどの大型船が次々と建造される時代に突入します。
これにより、塗装にも性能・耐久性・作業性の飛躍的な進化が求められるようになります。
ウレタン・エポキシ系の2液型塗料の登場
エアレススプレー塗装機による効率化
この時代、塗装作業はまさに「造船の一部」として、重要な工程へと位置づけられました。
2000年代以降、環境規制の強化により、塗装も「環境対応」が避けられないテーマとなります。
有害物質(鉛・クロム・トリブチルスズ)の使用禁止
VOC(揮発性有機化合物)を抑えた水性塗料の登場
バイオフィルムを防ぐ環境配慮型防汚塗料の開発
また、船底に付着するフジツボや海藻が燃費に与える影響が再注目され、「塗装が省エネにつながる」という考え方も一般化しています。
どんなに巨大で最新の船であっても、海の力には勝てません。
その外側を包み、腐食や損傷から守る「塗装」は、まさに船の命を守る役割を担っています。
塗料の進化と、塗る技術の蓄積が、海運の安全と効率を支えてきたのです。
次回は、そんな船舶塗装の現場でプロたちが守り続けてきた「鉄則」についてご紹介します!
次回もお楽しみに!
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